【新型コロナウイルス】合唱練習を再開する時の参考になる情報です!
全日本合唱連盟のFBに須藤伊知郎先生の記事がシェアされていました。
内容を読ませていただき、とても参考になる情報と思いましたので、こちらでもご紹介させていただく事にしました。
ドイツで発表された、音楽と医学の研究施設や大学の論文を翻訳されたものです。
◆◆注◆6月28日須藤伊知郎様から訂正のメールをいただきましたので↓リンク先を新しくし、本文内も訂正いたしました◆◆
詳しくはコメント欄をご覧ください。
https://www.dropbox.com/s/d913ueczyie4zky/
とても長いので、合唱関係の部分だけを、こちらに引用させていただきます。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
音楽の領域におけるコロナウイルス感染のリスク評価
第2アップデート2020年5月19日
クラウディア・シュパーン教授(医学博士、哲学博士)、ベルンハルト・リヒター教授(医学博士)
フライブルク音楽家医学研究所(FIM)
ファライブルク大学病院
フライブルク音楽大学
閉鎖空間における歌唱と音楽演奏
• 換気:歌唱と音楽演奏が閉鎖空間の内部で自然換気で行われる場合、これまでの経験にしたがえば、定期的かつ徹底的な換気がリスク低減に向けた重要な要因である。部屋に機械的換気装置(空調設備、RLT)がある限り、エアロゾルによる感染リスクの低減が想定される、エアロゾルは自然換気の場合、1時間に0,5–2回の範囲で空気の入れ替えがあるなら窓を閉めていても除かれるが、たとえばコンサートホールや公会堂における空調設備の場合、約1時間に4-8回の換気率となる)。
• 部屋の広さ:部屋の広さと部屋に居合せる人々の人数および人々が閉鎖空間にいる継続時間もまた、重要な役割を演じているように思われる(Tellier 2006)。比較的大勢の人数が比較的長い時間、狭くあまり換気されていない部屋に滞在していたことが、イシュルとハインスベルクでの感染爆発の際に、〔ウイルスの〕拡散を促進してしまったように思われる。
一緒に音楽を演奏することに関連づけて考えると、たとえば教会堂、コンサートホールあるいは市公会堂といった非常に大きな空間を、より多く練習場としても用いることができるであろう。
• 練習の継続時間:十分な部屋の広さと並んで、一斉〔に窓を開けて〕換気をする休憩を挟んだ、短い練習時間の繰り返し(たとえば15分、ロベルト・コッホ研究所、2020年4月16日更新、コロナウイルスSARS-CoV-2による呼吸器系罹患者の濃厚接触者追跡をも参照)が効果がある。〔訳注:ドイツでは新型コロナウイルス流行以前から、気密性の高い住環境での一斉窓開け換気が一般的であるが、日本では特に夏季は熱中症対策も考えなければならないので、この点は慎重に考察する必要がある。〕
歌うことに関する一般的リスク評価
すでに叙述されたように新型コロナウイルス〔SARS-CoV-2〕の伝播経路の場合、ウイルスを含む飛沫による感染の危険とウイルスを含むエアロゾルによる感染の危険を区別すべきである。これらに加えて、手/鼻/口の接触と場合によっては手/目の接触を介した重要な伝播経路がある。
飛沫:飛沫はそれらの大きさと重さに基づいて迅速に床に沈み、最大1メートルの距離に到達する。このことに、日常生活状況(店舗、事務所等々)における1,5メートルの距離の規則は基づいている。
歌う際に飛沫感染による高められた危険が生じるのか?
音声生理学においては、以前から発声(歌う際の音の生成)の際に歌う者の開いた口の前では、音波は生理学的に気流なしに拡散するのであるから、何ら実質的に付加的な空気の動きは生じない、ということが叙述されてきている。燃えているローソクの炎は、歌手の口の前で、たとえその人が大声で歌っているとしても、動きはしない。
この観察は、バンベルク交響楽団での三人の歌手の測定で改めて確認することができた。男女の歌手たちの口のすぐ前に導かれた人工的な霧は、様々な音程と音量と歌い方で歌うことによって、見えるようには逸らされなかった。破裂音による不自然な〔無理やり強い〕発音をした際には、近い領域で軽微な渦巻きが観察された。しかしながら、歌っている者から2メートルの距離で気流の速度をセンサーによって測定したところ、何ら空気の動きは測定することができなかった。そこでこの2メートルの距離が、不自然な〔無理やり強い〕発音をした場合でも、飛沫感染に関する安全距離とみなすことができる。
合唱
合唱の場合、基本的に歌うという事象の上述の諸特徴が存在している。個々の歌い手によるエアロゾルの形成を前提して考えなければならないので、より多くの人数が集まるほど、閉鎖空間におけるウイルスを含んだエアロゾルはより高い密度で集まることが想定される(Liu et al. 2020)。換気の質がここで同様に重要な役割を演じる(Liu et al. 2020)。また継続時間の問題、つまりどれだけ長く一回の合唱練習が継続するかも、一つの空間において予想されるエアロゾルの粒子濃度に関して役割を演じる。すなわち、より長い時間枠におけるほど、粒子濃度はより短い時間枠におけるよりも高い値に上昇する可能性がある。
様々な合唱団の練習ないし礼拝の後、新型コロナウイルスが拡散したことについては複数報じられている。5月12日にアメリカのある合唱団(ワシントン州、スカジット郡)におけるこのような感染爆発の一つが、科学的な出版物で報告された(Hamner et al. 2020)。2020年3月17日にその合唱団から保健所に高い感染率についての届け出があった。おそらく高い感染率を伴う感染に立ち至った合唱の練習は、2020年3月10日に行われた。3月10日の練習に参加した61人の合唱団員のうち、53人が罹患し、3人は入院して治療を受けなければならず、2人が死亡した。歌い手たちの平均年齢は69歳(幅 = 31〜83)、入院した3人は2つないしそれ以上の既知の先行疾患を持っていた。エアロゾルを介した感染が、この出版物において一つのありそうな感染源として議論されている。個々の歌い手の間の間隔は、椅子の間が6〜10インチ(約15〜25cm)とわずかであった。練習全体の時間は約2時間半であった。15分間のおやつ休憩があった。さらに、3月10日の初発の感染源と見られる疑いのある発端者は、この練習参加の時点ですでに3月7日から諸症状があり、この人物は3月3日にも練習に参加していた。
合唱の状況におけるエアロゾルによる感染リスクを低減させるために、一方では、上ですでに詳述したように、口鼻防護具(MNS〔サージカルマスク〕)を着用することができる。
他方では、非常に広い空間、たとえばコンサートホールや教会堂で歌うことは、非常に好都合であるように思われる。部屋の約15分毎の定期的な〔一斉に窓を開けて〕空気を通す換気あるいは空調設備のある部屋の利用は、リスク低減のための重要な措置である。野外で歌うことができれば、リスク最小化の観点で最も好都合であると思われる(組織的リスク低減をも見よ)。
さらに練習の実際のやり方においては、練習時間を15分の短い間隔に区切ることもリスク最小化に寄与することができる。
合唱団における飛沫伝播を排除するために、休憩においても通常のソーシャル・ディスタンスの距離の規則が遵守されなければならず、飛沫伝播を防ぐためにMNS〔サージカルマスク〕が着用されるべきである。
さらに我々の観点から特に念入りに注意すべきなのは、休憩の状況で手の接触ないし(たとえば楽譜の手渡し等々によって)表面への接触に至らないようにすることである。定期的な徹底的な手洗いは非常に重要であり、特に顔を触ることと目をこすることは避けなければならない。
一般的なさらなるリスク低減は人に関する入場管理(上を見よ)が提示している。
くしゃみと咳はできる限り避けるべきであり、肘を曲げて受け止める〔上着の内側や袖で口と鼻を覆う〕べきである。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
すでに注意されている内容ではありますが、やっぱりそこを注意しなくてはいけないと感じさせられました。気になる所は太字にさせていただきました。
私の所属する団でも先週から練習が再開されました。
再び、感染者が練習した所から出てしまえば、また、何か月も合唱はやはり注意すべき活動という事になってしまいます。
各自の細心の注意が必要ですよね。
(冒頭写真はイメージです。現在のものではありません)
◆6月24日追加◆
所属する地域で、制限付きの利用許可が降りた事もあり、様々な対処をして練習を再開しました。
【合唱用マスク】タオルハンカチで簡単に作れました!苦しくないし歌いやすい!
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Comment
ありがとうございました。
とても参考になりました。
人数が多い団は大変ですよね。ピノは人数が少ないので全員でも大丈夫ですが、PMSの方は半分で時間を2部に分けて練習を再開しました。
とは言え、私はどちらもまだ参加していなくて、来週から復帰する予定です。
フライブルクの「リスク評価」を訳しました須藤伊知郎です。翻訳に一箇所誤りがありましたので、私のタイムラインに以下のように追記をさせていただきました。
【追記4】「2.1.b) 部屋/空気/時間という変数」の「換気」の段落に誤りがありましたので、お詫びして訂正させていただきます。
誤:約0,5–2時間
正:約0,5–2回/h
誤:約4–8時間
正:約4–8回/h
Dropboxの文書も訂正しましたので、リンクを改めました。
https://www.dropbox.com/s/d913ueczyie4zky/
大事な点を間違えてしまい、申し訳ありません。翻訳配布の許可をいただいている原著者にはこれから訂正版をお送りするところです。今後ともよろしくお願いいたします。
須藤様
翻訳訂正のご連絡ありがとうございます。
リンクの訂正と、本文内の訂正をさせていただきました。
とても参考になる論文のご紹介、本当に感謝しております。
ありがとうございました。
心置きなく合唱ができる日がくるまで、ご紹介いただいた事などを参考に頑張りたいと思っております。